杉浦非水と島根県石見地方のかかわりを知る

2022年5月22日



入り口横の掲示は代表的な
2つのポスターがデザインされています!

その日、いつものように新聞を見ていました。文化欄を開いたとたん、目を引きつけられます。

東京地下鉄道の開通を知らせるポスター。

日本で、そしてアジアで初めての地下鉄(現在の銀座線の一部)が開通した1927年、杉浦非水という、日本における近代グラフィックデザイナーの草分けが描いたそのポスターは、大胆な構図で知られ、鉄道ファンであるKAY2も昔から目にしていた物でした。

「東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通」
パブリックドメイン美術館より

ほぉ!

と、記事を見ていて、ある場所に目が釘付けに。作者略歴に「島根県立第二中学校教諭などをへて」とあります。

え?当時の島根県立第二中学校って、KAY2の母校である現在の島根県立浜田高等学校のはず。

知らなかった!

すぐにネットで調べてみると、本当でした。

杉浦は愛媛県出身ですが、東京美術学校を出たあと、若い頃に2年弱、図画の教師として浜田にいたのです。しかも、その頃の浜田から江津あたりのスケッチ画を多数残しているとか。

今回の新聞記事、現在行われている展覧会の紹介記事でもあります。場所は「たばこと塩の博物館」。しかもそのスケッチも公開。これは行かねば!

ということで、さっそく向かった本所吾妻橋駅。そこから、数分の距離に博物館はあります。

「杉浦非水 時代をひらくデザイン」と題された大きな表示が入り口に掲示されています。

平日昼間の博物館は比較的空いています。それでも数十人はいらっしゃいましたが、ゆっくりと、せかされることなく展示品を見ることが出来ます。

ありました、ありました!スケッチ帳。

しかも、開いているページは島根県浜田市にある「三階山」からの眺め!わぁ!高校時代に何度か登った山です。そこからの日本海の眺め。見覚えあるぞ!

懐かしさで一杯になります。

さらに、日露戦争の頃、ロシア、バルチック艦隊の艦船が江津市沖で沈没し、乗組員が江津市和木町に漂着。そのときの光景も杉浦は描いています。これもKAY2にとっては故郷の懐かしい景色。右側に「石見富士」と説明がある富士山形の山が見えます。本当でしたら石見富士は通常「三瓶山」か「青野山」を指すのですが、ここから見える富士はKAY2が何度も登ったことのある「浅利富士」の可能性もあります。そんなことも想像してしまい、再び、懐かしさがこみ上げます。

まずは目的のスケッチを目にして大満足。その後、他の展示品をゆっくりと見て彼の様々な業績を知ることになります。特に本の装丁の大家だったことも初めて知りました。ブックデザインというのは本当に魅力的な仕事だと、展示された本を眺めて、改めて思います。

さらに冒頭の地下鉄、そして三越のポスターの数々。カルピスやヤマサ醤油のポスターも!

そして、ラジオマニアでもあるKAY2は東京中央放送局JOAK(NHK)の大電力放送開始のポスターはことのほか嬉しくて!二人の若い男女がそれぞれにヘッドホンを着けて楽しそうに草原で聞いている図案に心躍ります。


「大電力放送開始JOAK」

パブリックドメイン美術館より

もともと日本画家を目指していたこともあり、彼の日本画の数々も素敵でした。

さて、島根県立石見美術館からスタートしたこの展覧会、11月4日まで「たばこと塩の博物館」で行われますが、その後は三重県立美術館、福岡県立美術館と巡回するようです。

興味を持たれた方はぜひ!

島根の話題杉浦非水

Posted by KAYS