普段は非公開の文化財の中で演奏会を楽しむという贅沢 ~ 蒼梧記念館(世田谷区給田)
日曜日、この日は午後から雨という予報でしたが、まだ降っておらず、足取りも軽く我が家から向かった先が「蒼梧記念館」。
世田谷区給田に新しくできた施設「SETAGAYA Q’s GARDEN」の中にある建物です。
この昭和初期の邸宅があるのは第一生命のグランドだった場所。そこに以前から第一生命の保養施設として存在していました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、元は第一生命の創業者の邸宅。貴重な建物で世田谷区の文化財にも指定されています。昭和初期の日本建築と西洋建築を融合させた実に見事な建築物ですが、普段は非公開。イベントなどで貸し出しされた場合に中に入ることができます。
そこを散歩中に見つけ惚れ込んだのが仙川在住のヴァイオリニストの関戸美樹さん。彼女のコンサートについては、以前、このブログでも書かせて頂いたことがあります(こちら)。
彼女がこの施設に立派なコンサート用グランドピアノがあることを見つけ、ここで働いていらっしゃるスタッフさんと話をしていくうちにとんとん拍子に決まったコンサート。そう、この貴重な建物の中で演奏会を開くというものです。この冬に初めて行い、今回はその2回目。
緑に囲まれた古い邸宅。そこでのコンサートなんて、最高じゃないですか!
というわけで普段は土日に仕事が入っているKAY2ですが、珍しくこの日は仕事が午前中だけでしたので、午後、KAY1とともに自宅から散歩がてら出かけたというわけです。
10分ほど歩くと建物が見えてきて、入り口に向かいます。むろん二人とも中に入るのは初めてのこと。若干の緊張感をともなっていたのですが、窓を見ると本日のヴァイオリニスト、関戸美樹さんが我々を見つけ、中からお茶目に身体全体を揺らして合図を送ってくれています。これで緊張が解けます。(笑)
さて、建物に入ってみるとその重厚な内装に圧倒されます。
うーむ、これは凄いぞ。
まだ開始まで少し時間がありますので、中を見学。
吹きガラスを久しぶりに見ます。
曇りという天気のせいもありますが、内部はやや暗く、落ち着いた佇まいです。細部までよぉく見ると、1階から2階との連絡用のパイプがあったりと、なかなか細かいギミックも残っておりそれらを見つけるのも楽しいものです。
そして、いよいよ時間となり、メインのお部屋に行ってみると……。
縁側とお部屋をあわせたような構造の窓際は3面がガラス引き戸。外が良く見えます。そんな場所ににグランドピアノが。
これは贅沢!
このコンサートは1ドリンク付きとのことで、お隣の「光風亭」のカフェから運ばれたドリンクを頂きながら(呑兵衛の我々、ついついゆずサワーをたのんじゃいましたが)席で待ちます。
やがて関戸さんとピアノの曽我彩子さんが登場。
関戸さんの楽しいトークはいつもみなさんの笑いを取ります。そして、建物の管理をしていらっしゃる方の蒼梧記念館についての説明もあり、演奏へ。
ちょうど雨が降り出し、その雨音をバックにしながら流れるヴァイオリンとピアノの調べにウットリします。関戸さんの情熱的な演奏、そして曽我さんの暖かい音色が美しく溶け合っていきます。
季節柄「雨」に関わる曲も入ったプログラム。「和」の雰囲気と窓から見える外の景色をイメージした選曲となっています。
普段の演奏会とは違い、外の眺めを楽しみながらの音楽はまたひと味違います。
また、お部屋も日本家屋にもかかわらず、ガラス窓のせいでしょうか、適度な残響があり、実に心地よく響くのです。
1時間のコンサート、気がつけば、あっという間に終了でした。
素晴らしい演奏を
聴かせて下さったおふたり
(写真はお借りしました!)
ちなみに「葉陽風歴逢」と名付けられたコンサート、「はひふへほ」と読みます。このコンサートの雰囲気などを漢字にしてみたらこうなったという事だそうですが、その遊び心もまた関戸さんらしいなぁと思います。(^^)
コンサートの後は管理されている方の説明で建物の内部ツアーもあり、建物の貴重さをより強く感じることができました。
また、その後、お隣の「光風亭」にも立ち寄ります。カフェがありますので、そちらで珈琲を飲みながら建物を見ますが、なんとなく馴染みのあるようなデザイン……。こちらも昭和初期の建物ですが、説明文を読むと設計者は東京中央郵便局など郵便局のデザインを多くされた方。なぁるほど道理で!
こちらもまた貴重な建物で東京都の「選定歴史的建造物」に選ばれています。
さて、コンサートもお茶も終わって、どうする?
時刻は15時過ぎ。お、この時間なら「い志井」が開いているね!帰り道だし……と、呑兵衛の二人はたちまち意気投合。なんて有意義な日曜日!(笑)
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