グランクラスは果たして乗る価値があるのか? ~ ある呑兵衛の一考察

2024年4月22日




特別なシートです!

はじめに

おっ、論文かい?というようなタイトルにしちゃいましたが、例の如く呑兵衛の戯言です。でもちょっと長い!(笑)

グランクラス(Gran Class)、2011年に東北新幹線に鳴り物入りで登場して13年。新幹線のファーストクラスのような位置づけです。

かつて登場当初、乗ってみたときの感想をこちらこちら(過去のブログとWEBページの記事です)に記しています。

その後コロナ禍を経て、2022年、サービスの見直しが行われましたが、その後のネットでの評判を見てみると良くなったという声はあまり聞こえてこず、逆に悪くなったという声の方が良く聞こえて来ます。

そこで、実際のところどうなのか知りたいと思っていたところ、折良くJR東日本のキャンペーン「旅せよ平日!JR東日本たびキュン♥早割パス」が始まりました。

こちらを利用し(グランクラスと特急料金は別に必要でしたが)、2024年3月、乗車して確かめてきました。

実はリニューアル後のグランクラスに関するブログ記事はそれなりに数があるんですよね。

でも、この記事、実は「超」呑兵衛であるKAY2の視点からも書いてみましたので、興味ある方は以下、お読みください。

グランクラスの概要


3月、新青森駅は雪が残っていました

ご存知の方も多いとは思いますが、念のためちょいと説明を……。

新幹線の座席は自由席と指定席が基本にあります。それに加え、高級なグリーン車があるのは、多くのJRの列車と同じです。そこにグリーン車のさらに贅沢な高級バージョンとして登場したのがグランクラス。

全く新しい座席がデビュー時にはまず注目を浴びました。まるで飛行機のビジネスクラスのような大きな座席。カプセルのような形でプライバシーの確保とともにリクライニングが大きく、革張りの大変贅沢な座席です。しかも背後にカバーがあるせいで、リクライニングしても背後の人に圧迫感を与えない。それが1列に3席。そして、全体で6列で、全部で18席です。そこにアテンダントが専任でつくという贅沢。

さらに、これもデビュー当時に斬新だったポイントですが、和洋から選べる軽食のお弁当、そしてソフトドリンク、さらにアルコールが飲み放題。おやつもついてきます。

というサービスが展開されているわけです。

確かに食指が動きますねぇ……。とにかく豪華です。

さらに呑兵衛のKAY2、アルコールの飲み放題が当初から気になって気になって……。

2022年のリニューアル後


グランクラスのロゴはゴールドです

さて、2022年のリニューアルで何が変わったかと言いますと、まず軽食ですがリフレッシュメントと呼ばれるようになりました。呼び方が変わったのにはわけがあり、以前は小型のお弁当のようなものだったのが、おつまみセットのようなものに分量が減ったのです。まずこの点でがっかりされた方が多いようです。

さらに、上りと下りで別メニューだったものが和洋それぞれ1種類に統一。また、冷凍保存されたものに変わりました。こちらはフードロスの見地からは良いことでしょう。特に、普段の乗車率は50%そこそこというデータが以前出ていましたので(その後、インバウンドで変化しているかもしれませんが)、廃棄される分量も多かったでしょうから。

さらに、乾き物のおつまみセットが廃止。これは飲んべえには特に評判が悪い(笑)。

茶菓子もリクエストしなければ出てきません。うん、こちらもフードロスの見地からは良い事とも言えますが。

また、アテンダントさんについては2名から1名に減らされています。結構大変な業務だと思うので、1人になったのは、かなりの負担増ではないかと心配なKAY2です。

と、以上が大きな変化です。

全体に乗客数の少なさからサービスを削ったと推測されますし、以前より一部の列車では完全にアテンダントサービスを廃止しています。今後のなりゆきがちょっと心配されるのもまた事実。

でも、アルコールの飲み放題は変わらず!この点だけはホッとするKAY2です。

値段からの考察


こちらが憧れの切符

ここが一番のポイントとなると思うのですが、東京~新青森間での料金で比較してみましょう。申し込み方法によって値段の上下がありますので、とりあえずJRの公式ページのデータです。

通常の指定席で購入すると
乗車券    9,870円
指定席特急券 7,000円
合計    16,870円

となります。

これがグリーン車であれば
乗車券    9,870円
指定席特急券 6,480円(520円値引きされます)
グリーン料金 5,000円
合計    21,360円

となります。

さらにグランクラスの場合はアテンダントによるサービスがある場合とない場合があり、ある場合ですと
乗車券       9,870円
指定席特急券    6,480円(520円値引きされます)
グランクラス料金 10,000円
合計       26,360円

となります。

大ざっぱに言えば通常料金に5,000円ほどプラスすればグリーン車に。さらに5,000円ほどプラスすればグランクラスに乗ることが出来るということになります。

その価値があるかどうかというのがポイントですね!

サービスからの考察 ~ 値段相応かも


内部はこうなっています

(この写真のみ今回でなく以前乗車したときのもの)

グリーン車から5,000円上乗せして乗る価値があるのか?

まず設備で言えば、座席はかなり豪華な作りになっており、スリッパやアメニティのサービスもあるために居住性は相当に良いと感じられます。一人席の存在は乗車したときにかなりの割合で隣の席に変な人が来てしまうという「くじ運」の強いKAY2にとって、かなりありがたい席ともいえます。(そういうKAY2自身もも変な人のカテゴリーに入れられるかもしれませんが……(^^;))

二人並びの席も間に小さな仕切りがあり、プライバシーが保てます。

ではサービスは?

まず無料で供される食べ物やアメニティーの料金を考えてみます。この場合、卸値ではなく、車内で販売される時の値段で考えてみることにします。あくまで素人の想像での価格ですので実際の値段と大きく乖離がある場合があります。その点はご了解下さい。

すると、例えば

・リフレッシュメント(軽食) 1,500円
・茶菓子 200円
・スリッパ 300円
・アメニティセット 300円
・ソフトドリンク(1杯)400円
・アルコール(ビール1本)300円

以上で合計3,000円となります。

3,000円相当のアメニティや飲食がついた上に、他にない豪華な座席で旅できる……。

そう考えるとグリーン車と比べて5,000円高いという価格は値段相応ではないかという気もします。

まぁ、このあたりは価値観でしょう。体が疲れていて、周囲とのプライバシーが気になるという方にはかなり魅力的に捉えられるはず。一方で、車内ではひたすら仕事しているから……、あるいはひたすら眠っているから……、という人には無駄かも。

例外的にかなりオトクに感じる人々とは……


足下の紫の袋には持ち帰り自由のスリッパも!


また、ウェルカムキットとしてこのセットを最初にいただきます

ただ、ここで一つ大きなポイントがあります。

お酒をどれだけ飲む人なのかという問題……。そう、「うわばみ」と呼ばれるKAY2がまさにそう!

というのも、アルコールが飲み放題!!だということ。

東京から新青森までは3時間ちょっとかかります。普通の居酒屋さんで飲み放題って、通常2時間ですよね。それより長い飲み放題!(なんという比較!)

そう考えるとオトクだなぁ……と考えてしまう「馬鹿者」のKAY2です。

上記のサービスの値段、もしKAY2の飲みっぷりで計算すると次のように。

・軽食 1,500円
・お菓子 200円
・スリッパ 300円
・アメニティセット 300円
・ソフトドリンク(1杯)400円
・アルコール(ビール2本)600円
・アルコール(ワインミニボトル2本)1,000円
・アルコール(日本酒ミニボトル1本)500円

と、ちょうど5,000円に!元が取れた!!(ますますバカモノ~いや、バケモノ?です(爆))

そうそう、悪酔いを防ぐために、水はどんどん飲みましょう!最初のウェルカムセットにも小さなミネラルウォーターのボトルが入っていますが、足りない場合はアテンダントさんにお願いするか、自分で持ち込んだりも良いと思います。

ワイン好きにはたまらないリフレッシュメント(軽い食事)


リフレッシュメントなどの説明

ワインも飲み放題!となると、白ワイン、赤ワインと進んで行きますが、そのおつまみとなるリフレッシュメント(今回は洋食を選んでいます)、これが実に良いのです。

「DEAN & DELUCA」と「Social Kitchen TORANOMON」による洋食の料理は完全にワイン向き。小さなアミューズのようなものですが、中身はかなり本格的です。このセットだけで、白と赤、ワインが両方足りなくなるくらいにいけちゃいます。


中身はこの通り!

この日は特に「青森県産りんごのフィナンシェ」にぞっこん!白ワインに最高の相性でワインがどんどん進んじゃいます! 

わずかな量のリフレッシュメントなんて……と、最初は少々侮っていたきらいががあるKAY2です。ごめんなさい!

も一つ言えば、この日の白、マンズワインの「シャルドネ」、とても良いワインでした。こちらも期待以上。

リフレッシュメント、実費を払ってもいいからおかわりもあればいいのに……、と思っていたら、ある裏技で3回いただく事が可能だと知りましたが、後述のようにその裏技は結構凄すぎてKAYSにはまねできそうにありませんが……。(^^;)

でも、本気でそうしたいというくらいに絶妙な味わいの逸品。これを体験するだけでもグランクラスに乗った甲斐は……、あるかもしれません!

スムーズなサービスを受けるためには車内でも時刻表をチェック!


最初にビールをオーダー

アテンダントさんは一人で頑張っておられます。18席を一人で……というのは大変な作業。また、駅の停車直前や直後はまた忙しさがMAXに。お酒のおかわりを頼んだり何かリクエストをするのは、できるだけ負担をかけず、タイミングを良くしたいもの。そのためには、次の駅の到着時刻は何分かを把握して、できるだけスムーズにサーブしてもらえるように、配慮することも必要でしょう。手元のスマホにJR東日本の時刻表などで停車駅の到着&発車時刻などを表示させておき、確かめながらオーダーしていくと良いと思います。

できるだけ長く乗っていたいという場合


もちろんグラスはガラスでロゴ入りです

これだけ素敵なサービスのあるグランクラス、少しでも長く乗っていたいという希望もありますよね。もちろん、途中で天候不良などがあり、速度を落としたり、あるいは、停止したりすると「ラッキー!」という、通常ではあり得ない反応になるかもしれませんが、そうではなく、通常運行で少しでも長く乗る方法……。

ご存知の方も多いでしょうが、新幹線には早い新幹線と遅い新幹線があるんですよねぇ。

新青森まで行く新幹線はそのほとんどが「速達」で足が速いのですが、盛岡までの場合、列車によっては最大40分近く差が出るんです。同じ料金を払って飲み放題なのに40分も時間が延びる……、あ、またまた飲みネタで考えてしまう(爆)。

でも、これ、大きな違いとして感じる人は多いみたいで、実際にネットでもこの手の話題は多いです。

究極の使い方~途中で乗り換えるという手法


ワインに移り白ワインを

先にもちょっと触れた、裏技的な方法……。

ご存じの方もいらっしゃるでしょう。「乗り換え」というワザがあります。

東京から新青森までグランクラスに乗る。その場合、払っている料金はあくまで東京から新青森までです。それを例えば、東京から仙台、仙台から盛岡、盛岡から新青森という風に3分割して乗車しても改札を出ない限り、料金は一緒なんです。

ということは、リフレッシュメントを3回いただける!!!

そうなんです!


さらに赤ワインへ

この方法で乗車される人も実際にいらっしゃいます。少なくとも和食と洋食、どちらも食べたいという人は2つに分割して乗れば良いということに!

一方で、この方法での予約は通常のえきねっとなどではできませんので、JRのみどりの窓口などでお願いすることになります。昨今、インバウンドで窓口が混み合っていますので、なかなかハードルの高い方法ではありますが、ご参考まで!

おわりに ~「運輸業」と「サービス業」というくらいの違い

仙台が近い頃には日も沈みはじめ
再び白ワインを

グランクラス、鉄道好きにとっては一度は乗ってみたい憧れのクラス。日本の列車で飛行機のビジネスクラスのような体験が味わえるなんて……と、登場当初は大感激したものです。とはいえ、その値段から、いままでKAYSも2度しか乗車経験はありませんでした。

今回乗ってみたのは冒頭にも書いたようにJR東日本のキュンパスを利用することで新青森に出かけようと思ったことがきっかけでした。

通常ですと、行き帰りの新幹線往復は34,700円(特急料金の割引がない指定席の場合)となりますが、きゅんパスではわずか10,000円。往復で24,700円も得なんです。凄い切符です。

ただ、きゅんパスでのグランクラス利用はグランクラス料金に加えて特急券も別に購入しなければならないルールなので、その料金を足すと、グランクラス利用は帰りだけにして行きを通常の指定席にしても、すべての合計で28,640円になってしまいます。大きな無駄といえば無駄かもしれませんが、それでも、通常の購入~グランクラス利用を合わせた額の43,230円に比べれば14,590円オトクになる。それがきっかけでした。

とはいえ、決してお金持ちじゃないKAY2にとっては、乗車直前までキャンセルしようかな……と悩んでいましたが、結果、乗車してみて、以前との差を発見しつつ、久しぶりに興味深い体験ができました。

新幹線の旅というのは味気ないという方も多いのは事実。確かに行きの普通の座席指定席では、単に早く着実に目的地まで届けてくれる「運輸業」としての新幹線を味わった感じですが、帰りのグランクラスはまったく別世界。こちらは「サービス業」としての新幹線という実感がしました!

まだ乗ったことのない方、一度は経験されると良いのではないでしょうか。もしあなたがKAY2同様に飲んべえなら、これは絶対後悔しないでしょう!!(笑)

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