ソニーのホームラジオ「SRF-V1BT」は所有欲をくすぐる贅沢な高級目覚ましラジオ!?
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発売時、音質の印象はさほどだったが…
今から6年前、ソニー(SONY)からちょっと変わったラジオが発売されました。今回のレビューとなる製品です。
「SRF-V1BT」
ソニーのカタログでは「ホームラジオ」の位置づけ。やや意外な感じを覚えました。ホームラジオって、もっと大きな筐体のラジオじゃないかって。そうなんです。リビングにデ~~ンと置かれた以前のホームラジオのイメージと違って、比較的コンパクトなサイズなんです。
そして、この機種、ホームラジオとはいえ、今時は珍しくなくなりましたが、いわゆるブルートゥーススピーカーにラジオがプラスされたような製品。
縦長のフォルムはそれまでの海外製品などにはありましたが、ソニーでは新鮮な印象を与えてくれました。
当初、このラジオが出た時、ラジオ好きのKAYSは当然のことながら、量販店に足を運び実機に触れました。が、そのときの印象は芳しくありませんでした。というのも、音質がKAY2の好みとは違っていたんです。中低音の響きも期待したほどではなく、凡庸な音だなぁ……と言う印象でした。ただ、周囲が騒がしい状況での感想ですから、製品の魅力をきちんと捉えきれなかったのかも知れません。
当時三才ブックスが出していた「ラジオマニア2016」のレビューでも、音質に関してはやや辛口の批評でした。
6年を経て、今は高評価も
それから6年の時が流れました。
ネット上でのレビューなどを見てみると、どうも音質に関しての評価はさほど悪くないようです。
改善されたのか、それとも、6年前にKAY2が聴いた時には音質設定などをちゃんと行わずに聞いたからなのか。
俄然、気になってきました。
ただ、アマゾンや楽天などのレビューを見てみると、確かに非常に満足したという人は一定数いらっしゃるのですが、一方で、価格の高さや操作性などへの不満、そして、1年を経て接触不良などが出てきたと、例のソニー・タイマー(あたかもタイマーが仕組まれたかのようにちょうど保証期間が終わる頃に壊れる)を指摘する声もあります。
このラジオ、どうも賛否両論のようです。
使い手との相性を求めるラジオなのかもしれません。
そうなると、「ラジオ好き」としては気になります!
放っておくわけにはいかなくなります。そう、
「KAY1にナイショで買ってみよう!!」
いやいや、後でバレてこっぴどく怒られるのはコワイです。
そんなときに、ひらめきました。
まてよ、長年愛用してきた寝室のクロックラジオ(プリンストンのi-Bird)、FM補完放送に対応していないので、買い換えが必要と以前、KAY1と話していたじゃないか!
このソニーのラジオ、時計表示が大きくて、オンタイマーもあるから、目覚ましラジオとしても使えるぞ!とりあえず、後で言い訳を詳しく考えよう!(^^;)
買っちゃった!
でも、実際に購入となると、かなり迷いました。だって、結構なお値段がします。たとえば、現在(2022年9月)は価格コムで調べてみると、平均価格は21,283円で最安値が19,024円。一時期は15,000円位までに下がっていたので、最近、なぜかずいぶんと値上がりしています。ちなみにAmazonでは19,842円。いずれにしても、ラジオとしてはかなり高額です。
ただ、昨今のKAY2のラジオの買い物で非常に満足した、Sangeanの製品であるWR-302が20,000円ちょっとすることを考えると、ある程度の質感をもち、それなりの音質がするラジオは、やはりこの価格帯になってしまうんだよね……と、自分を納得させます。ちなみにかの有名なTivoliのModel Oneは38,500円で売られていますから、その半分。Tivoliと比べるのは……という人もいらっしゃるかもしれませんが、実は、後述しますが、いい線行っているんです。ソニーのこの機種。
ちなみに色はブラックとホワイトの二種類があります。KAYSの住環境ではホワイトが合うと判断。
ちょうどショップのポイントもある程度貯まっていることもあり、結局、購入となりました。ああ、KAY1への言い訳をちゃんと考えなきゃ。
購入してのファースト・インプレッション
届いたラジオのパッケージは思ったよりは軽いものでした。でもコンパクトとはいえ、それなりの大きさの筐体です。落とさないように注意深くテーブルに運び、開封。箱から本体を取り出して、眺めてみます。
テーブルの上に出してみると、意外と存在感があります。うん。確かにホームラジオかも……。(^^)
電源コードをつないでみるとすぐに液晶表示が現れます。かなりの輝度もあり、見やすい表示です。
上面に配置された様々なボタンを動かしていると、取扱説明書を読まなくともさほど無理なく操作できます。このあたりはやはり伝統のメーカー、人間工学的にもよく考えられているのでしょう。時刻合わせ、選局などの設定をしていきます。
あらかじめ地域名を選べばすぐに放送局のリストが現れて、そして選局できるというのは「楽」です。FM補完放送局の名前も関東では最後発の「RFラジオ日本(2020年開始)」が入っていませんが、それ以外はすべて入っています。
ただ、この時点で一つ気になったことがありました。
本体、明るい陽のもとで見てみると、まるで傷のように白い筐体に黒や茶のしみのようなものが数カ所にありました。え?中古品?と一瞬驚きます。が、指で触るとすぐに消えていきます。ん?何か材料の一部が付着したのでしょうか。水を含ませたクロスで拭き取ることで完全に綺麗になりました。このような話は他のレビューなどでも聞いたことがないので、このモデルの問題というより、おそらく個体の問題だとは思いますが、ソニーさんらしくない品質管理という感じで意外でした。(Amazonで購入しましたが、その販売店の問題かもしれません)。
肝心の音質は?うん、確かに悪くない!
さて、さっそくラジオを聞いてみます。
ちょうどNHK-FMでモーツァルトの交響曲を流しています。うん。パッと聞いた感じは悪くありません。「設定」で音質調整ができるので、高音と低音を調整してみます。どちらも標準からプラスマイナス5まで調整できます。プラスにしてみると低音は思いのほか、良く出てきます。さすがにバスレフの効果があるようです。高音をプラスにしてみるとソニーらしいメリハリのあるシャキシャキ感が出てきます。
ただ、全体傾向として、もともと中間の音域がやや薄い感じがあり、それはこの音質調整では改善できないようです。しかし、このサイズのラジオということで考えれば、十分に健闘していると思います。個人的にはその特徴はそのまま「音の膨らみ」が足りないという感じにもつながり、これは日本のラジオの多くが持つ特徴です。人の話し声が明瞭に聞こえるように設計される、無線機の音をモデルにしているような部分があるのかなぁと、いつも思います。とはいえ、逆にこの方が聴き取りやすくて良いという方の方が多いかも。KAY2が好きな「膨らみ」は逆に言えば「ブーミー」だと敬遠される方もいらっしゃいますし。要は「好み」の部分でもあります。
さて、局をTBSラジオのFM補完放送に切り替えてみます。すると今度は低音がやや強く感じられます。他の局にも変えてみると、それぞれに音作りが違うんですよね!そのたびに音質調整をしたくなっちゃいますが、局ごとに音質をメモリーできないので、それは無理。でも、それだけ音の違いがはっきりと出てくるというのは、逆にいえば、このラジオの音の再現性が良いということの現れでもあります。
AMの音はやや丸みを帯びたやわらかい音です。これはこれで聞きやすい音だと思いますが、この点も好みは別れるかもしれません。
更にBluetooth(ブルートゥース)。こちらは愛聴しているイギリスのClassic FMを聞いていみると、なかかなに好ましい音です。さすがにいつも聞いているソニーのワイヤレスポータブルスピーカー、SRS-HG10と比べると音の格が違うのですが、それでも、結構健闘していると好感が持てます。
さて、前半も触れたラジオ界のレジェンド、Tivoliの「Model One BT」、これと比べてみます。すると、Model Oneの方は中音域がまろやかでやや自然に聞こえます。疲れない音です。さすがにスピーカーの大きさの差は大きいですね。でも、それが2万円近い価格差として合理的な差かと言えば、そんなことはないような気もします。ソニー方も、聞くもののジャンルによっては、Tivoliよりも好きだ!と思われる人もいらっしゃるかもしれません。
自宅で作業をしながら1日、ずっとFMラジオをONにしていることもありますが、ソニーのこのラジオ、全体に聞き疲れせず、耳に心地よいのは確か。その点でも好印象です。
動画でTivoli Audio の Model One BTと比較撮影してみた
せっかくですからここでModel Oneと本機を比較した動画を作ってみましたので、よろしければご覧下さい!実際に近い音で聞いていただけたらと思いますので、スピーカーではなく、できるだけヘッドホンなどでお聞き下さい。
ステレオ感はどのくらいあるのか
スピーカー使用時のステレオ感は、左右のスピーカーの間隔もわずか数センチですので、期待はしていませんでしたが、やはり、それなりでした。
とはいえ、バイクが左から右に走り去る音源(懐かしいカーペンターズのアルバム「Now & Then」から「Fun, Fun, Fun」の冒頭です)を再生して、スピーカーから20cmの位置で聞いてみましたが、このくらいの距離であれば、十分にステレオ感は楽しめました。あまり実用的な距離ではありませんが。(^^;)
通常は最低でも50cmくらい離れた位置で聞くと思いますが、この状態で上記の音源を聞いたところ、バイクの移動感はありませんが、やや音の広がりは感じられたので、その程度のものだと思っていた方が良いです。
受信感度の印象はさすがソニー!
感度に関してはとても良いと思います。
総じてソニーのラジオは感度に関しては問題ないケースがほとんど。逆に前述のTivoliのModel Oneは音質の評判は良いのですが、感度の評判は芳しくありません。前出の動画でもわかると思いますが、AMの感度やノイズに対する点ではソニーのこの機種が圧勝でした。
FM放送はロッドアンテナを伸ばした状態であれば、電波環境の良い当地(東京都調布市)では東向きの室内でコミュニティFMを含めて30局以上と、かなりの局数が入感します。ただし、Sangeanの小型ラジオ、WR-301ではアンテナがなくても入感していた茨城放送や山梨放送のFM補完放送はアンテナを立てないとノイズが多い状態でした。これは逆に言えばWR-301が「超」高感度ということでもありますが。
AM放送は生活ノイズさえ避ければ、日頃入感する局はすべて良好に受信できます。ただし外部アンテナ端子はないので、そのままで昼間の遠距離受信は難しいです。
操作性は賛否両論
多くの方がレビューでも触れていらっしゃる「選局ダイヤル」という名前のジョグダイヤル。確かにこちらは不安定でこころもとない感覚で、将来的に、接点不良などが不安になりますよね。感覚としては、かつて短波ラジオのICF-SW55を使っていた頃、選局ダイヤルに用いられていたあの感じと言えば懐かしく感じて下さる読者もいらっしゃるかも。
操作性についてもう一つ。FM、AM、Bluetooth、外部入力の切替はすべて「機能切替」ボタンを押し、その上で「選局ダイヤル」で選びます。これが、実はプリセットとは連動していないため、例えばBluetoothを利用して、その後、AMを聞こうと、プリセットを押しても、一旦、「機能切替」でAMにモードを変えた上でプリセットを押さなければいけません。これはちょっと煩雑ですね!同様にFMを聞いている時にAMでプリセットした局を聞こうとすると、「機能切替」と「選局ダイヤル」でAMに切り替えてからプリセットを押す必要があります。うん、やっぱりこれは面倒!
バッテリーの持ちは必要十分
フル充電には6時間ほど。そして、バッテリーの持ちは結構長いです。
取扱説明書によれば、例えば、FM受信で音量を「25(音量調整の範囲は01~30です)」にした状態では31時間持つとあります。この音量の25というのは、バッテリーで聞いていてもかなり大きな音量です。KAY2の場合10~15程度の音量で聞きますので、それであればバッテリーはもっと持つことになります。1日数時間聞いても1週間近くは使える計算ですから、普段はバッテリーの持ちをあまり気にせず聴くことができそうです。ただし、リチウムイオン充電地ですから、何年も使っていれば、そのうちへたってしまうはず。その際、簡単に交換はできないので、修理となるか、本体全体を買い換えとなるのか……、その覚悟は必要です。
時刻補正、その他
時計として便利なのは時刻の自動補正があることでしょう。3分以内のズレであれば、1日3回、ちゃんと補正してくれます。ただし、NHKのラジオ第一放送の時報を使って行うため、中波放送が良好に入る環境でないとノイズにより補正されない可能性があります。(ノイズを発する電化製品の多い最近の家庭では難しい場合も多いかもしれません)
あと一つ、ないものねだりではありますが、リモコンとハンドルがあればもっと良かったのに……と思います。ベッドサイドに置く場合は別ですが、リビングなどで聞く場合、やはり、手元から離れた場所に置くことも多いので、立ち上がってラジオを操作しなければならないのは、ちょっと残念。また、本体のジョグダイヤルの耐久性を考えた場合、もし不具合が生じてもリモコンがあれば、操作できるでしょうし、そういう意味でも欲しかったですね!そして、持ち運びをしたくなるラジオなので、ハンドルもあれば便利ですよね(デザイン的にはシンプルな今の方が良いですが)。
この機種はどんな人にとって「買い!」なのか
発売から6年を経ていますので、そろそろ新機種を出してもおかしくないかも知れません(あるいはディスコンということも考えられます)が、予算に余裕のある方であれば、この機種を候補に入れるのは悪くない選択だと感じます。ただし、使用目的を考えて選ぶことが大切かもしれません。
たとえば、ラジオとBluetoothを良い音質で聞きたいということだけを考えれば、同じ価格帯でしたら、Sangean のWR-302なども選択肢に入ります。しかし、WR-302はラジオとしては実に正攻法の音の良いラジオですが、ラジオとBluetooth、外部入力以外の機能はありません。しかもアナログ選局、そして音はモノラルです。
どうしてもステレオスピーカーで、時計代わりにできて、補完放送も含めたFMとAMが受信できて、デジタル選局で、Bluetoothもあって、局名表示もあり、バッテリーが使え、持ち運びができて……という要素を全部満たしたい……という欲張りな選択肢としてはこのラジオになるかなぁ……という気がします。
おそらく一番ぴったりくるのはクロックラジオ。
KAY2的には、最初に述べたように、もともとベッドサイトで使えたらという「言い訳」がありました。時計表示が大きく、ACアダプターを使用している時にはバックライトもずっとONになり(3段階調整と消すこともできます)、何よりもベッドサイトのクロックラジオとして使えば文句なし……というより、実に贅沢なクロックラジオとなります。
とはいえ、ラジオがONになっているときには時計表示はきわめて小さくなってしまいます。その点は実用的ではないとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんね。クロックラジオというより目覚ましラジオという呼び方が良いかもしれません。
そして、クロックラジオにそこまでの投資をするか?と言われれば、確かにそうなんですが……。でもね、ちょいと考えてみて下さい。朝、目覚めるときに最初に耳にするラジオ。いい音で聞けば、きっと1日が豊かに過ごせるはず……。と、そう思って納得して買うというのもまた人生の楽しみかもしれませんよぉ……、とちょっと無理やり。(^^;)
というわけで、我が家のベッドサイドにおさまった「SRF-V1BT」、豊かな気分の目覚めを毎朝を届けてくれるようになりました。(^^)
そして、買ってしばらく数日はゲーム機を買ってもらった子どものように、夢中でラジオをさわり、そして聞き続けてしまいました。
そうそう、このラジオをベッドサイドにみつけたKAY1、「お、可愛いじゃん!」ととりあえずOKでした!色でホワイトを選んだのも正解でした。
そんな魅力溢れるラジオであるのは確かです。
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