中央線快速の新しいグリーン車で昭和感満載の食堂を訪ねる ~ 宝来軒(山梨県大月市)
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きっかけは中央線快速のグリーン車の導入
大型連休、ゴールデンウィークもいよいよ今日が最終日。
心に残る旅をされた方も多いでしょう。
相変わらず連休中も仕事のKAY2(夫)、さすがにそれでは寂しいので前から温めていた旅の企画を実行することに。
この春から正式運用となった中央線快速のグリーン車。これに乗ってちょっとした日帰旅行をしたくなったのです。観光なんて全くしないで、ひたすら電車に乗り、そして、降りた駅で食事をし、再びひたすら電車に乗るという、いつもの令和版「阿房列車」とも言える旅。普段はKAY2一人なので、本を読み、原稿を書くといういわゆる「列車書斎」ですが、今回はKAY1(妻)も一緒となると、書斎ではなく、のんびり鉄の旅を純粋に楽しむことになります。
目的地はグリーン車で終着駅となる大月。
大月といえば、河口湖への乗り換え駅としては有名ですが、降りると何があるんだろう?
そんな素朴な疑問を持って調べてみると、どうやら登山やトレッキングをされる方々には、結構人気のスポットらしいですね。
どちらかというとものぐさなKAYSの二人ですから、それは今回パス。
ではグルメ、しかも親しみやすい庶民的な食事ができる旅は?
と、ネットで調べてみるとすぐに気になるお店が数軒出てきます。うん、このうちのどこかに行こう!
往路は眺めの良さを満喫
往路はこんな計画です!
仙川10:02→10:29新宿 京王線各駅停車
新宿10:48→12:13大月 中央特快
というわけで連休中のある日、新宿駅のホームに立つと、意外な事にグリーン車の位置、行列ができています。これは混むかも!と覚悟しましたが、幸い我々の乗る特別快速大月行きの前、青梅特快に乗る皆さんでした!
そこで行列は解消。次の大月行きが到着し乗り込みます。車内は比較的空いていますが、なんと我々の前、4人グループと2人グループが乗り込んできましたが、いずれも外国語!
この日は特急の「あずさ」、「かいじ」ともに満席。なぁるほど、それで大月までのインバウンドのお客さんがこちらに流れてきたのかな?と思います。
その段階で、グリーン車の2階席は5割程度の埋まり具合。念のため1階席を見てみると、こちらはほとんどお客さんはいませんでした。
途中、中野、三鷹、国分寺とお客さんが乗り込んできて、最終的には7割程度2階席は埋まりました。連休中ということもあり、結構利用される方が多いのですね。
こうして乗ってみると、2階席、荷物などを置くスペースはありませんが、我々、目的が目的なので荷物もほとんどありません。なかなかに快適です。
そして、何よりも高い位置に座席があるので、普段特急で見ている景色とは違って見えるのが面白いですね。途中、相模湖を過ぎて見え隠れする相模川も普段は水面が見えない場所でも、見えたりするのはその高さのおかげかもしれません。
美しい新緑を眺めながら約1時間半、列車は無事に大月駅に。
大月駅ではさらにインバウンドの勢いに驚く
さて、大月駅に降りてみると、ホームは人で一杯!富士急行線に乗り換える人たちです。改札に行くまでもかなりな混雑ですし、そのほとんどの方がインバウンドと見受けられます。東アジア系、東南アジア系、欧米系と様々な人々が行き交うホーム。これは驚きです。そしてホームの案内は英語と日本語で……、いや、英語の方が多いかも!
ホームにある売店も行列です。見ていると、支払い方法の説明を英語でしたり、店員さんも忙しそうです!
そして人をかき分けるようにして改札にたどり着き、駅の外に出てみます。
古い街並みに、昭和感満載のお店が!
駅前はさほど混雑していませんが、こちらも様々な国の人たちがちらほらと。
そして、目の前の通りを進みすぐに国道20号に出ます。
そこから眺めてみると、古いお店が並び、昭和30年代~40年代ころには賑わっただろうなぁと想像できる、懐かしい風景です。我が実家のある島根県の江津市駅前の国道沿いの風景や浜田あたりの風景と、同じような印象を持ちます。
やがて、今朝ほどグーグルマップで確認していた数軒のうち、まず「宝来軒」に向かって歩き始めます。ストリートビューで見ていたので迷うこと無く、歩く事ができます。「お、明治ケンコーハムの看板が出てきたな。この角を左に曲がって……とつぶやくのを聞いたKAY1「え!どうしてわかるの!!地元の人みたい!!」と驚きます。「ふふふ、ストリートビュー、凄いんだぞ」とほくそ笑むKAY2です。
そして、その先をさらに右折。すると前方に「宝来軒」の表示が。
もし、連休でお休みならばつぎに「みやじま」か「マインドルフ」のどちらかに行こうと計画しています。
そして、その先の小道を右に入ると「宝来軒」ののれんがお店の外に出ています。やった!営業中だ!!
評判通り、貴重な昭和のお店、宝来軒!
綺麗に整備されたバイクと「おかもち」が置かれた入り口から中をのぞき込むと……。
おお!THIS IS ABSOLUTELY SHOWA!!という雰囲気のお店。
いや、ホントに個人の古いご自宅をお店にしているという雰囲気。置かれたテーブルや椅子がまちまちなのも、昭和のあの頃。そして、テレビは昼のワイドショーを映し出しています。
「すみませ~ん」と声をかけながらお店に入ります。
テーブルは4人席が二つ。小上がりに4人テーブルが2つ。つまり、一応、最大16人が座れます。奥に座敷があるので、きっと一杯の時にはそちらも利用されるのでしょう。
先客は中年男性2人組が奥のテーブルに。靴、リュックからあきらかに登山を終えたお客さんでしょう。サッポロ黒ラベルの大瓶を二人で分けて飲んでいらっしゃる。
「消毒してくださいねぇ!」と奥から女性の声が。振り返ると入り口に消毒液が。手洗いと共に消毒を済ませる二人です。そして手前のテーブルに座ります。
やがて、奥からかなりご高齢の奥様が……。もしかしたらKAYSの母親たちに近い年齢かも!
メモを手に、「これに書いてくださいね。忘れちゃうといけないから」とペンとともに渡されます。
うん。確実でしょうね!(^^)
メニューを眺めますが、結局事前に調べてきた料理を。KAY1は味噌タンメン、KAY2はミックスラーメンを。
そしてメモを書いたところで、厨房との間の小さな窓にご主人と思われる人がいらっしゃったので、その方にメモを渡します。こちらも我々の親という世代の雰囲気。外にはバイクも置いてあるので、元気に出前もしていらっしゃるのでしょう。素晴らしいですね!
中もズバリ昭和!他のお客さん同様に
KAY1もボカし、入れちゃいました!
登山帰りで遠方からのお客さんが意外と多い!
その後、二人組の中年男性が入店。このお二人も登山帰りの雰囲気です。「すみません、時間かかります。それでも良ければ」と奥様。
やがてもう一人、中年男性のお客さんが。なんとこちらも登山帰り!
ここまで、お客さんが我々も含め6人となったのですが、会話からして全員東京方面からのお客さん。地元の方は?と思いきや、一人若者が入ってきます。こちらは地元の学生さん風でした!
このお店の人気、ネットのおかげもあり、広く知られているのですね。私たちもそうですが。
最初から入っていた2人組の男性、ビールのつまみにと、餃子と野菜炒め、そして炒飯。何度か来ていらっしゃるのでしょうか。
まず運ばれてきたビール、一緒に置かれた栓抜きのデザインがまた昭和!
これを眺めているだけで嬉しくなるKAYSです。
ああ、なんとなく小学生のころ父親と良く行った江津市の「本町食堂」を思い出すなぁ……。
味噌タンメンが絶品!
そして我々のテーブルにも「味噌タンメン」が運ばれてきました。「時間がかかってすみません」と奥様、しきりと恐縮されていますが、ご高齢のご主人がきっと奮闘していらっしゃるのでしょう。こちらこそありがたい気持ちで丼を受け取ります。
さて、味わいは……。
KAY1にことわってKAY2も一口。
お!
スープはバターとおそらく生姜も入っているのかな。少し甘みさえ感じる独特の味わい。
これは美味しいですぞ!
丼を返すと、KAY1、実に美味しそうに食べていきます。あっという間に完食!
「これ、バターのトッピングもできるんだって。今度はそうしようかな」と、すでにリピ確定です!
実は、このあと、街中を散策して他の飲食店も見てみたのですが、やたらと「味噌味」のメニューが多いのです。考えてみれば山梨県の名物ほうとうは味噌味。吉田のうどんも味噌味。味噌文化なんですね!
確かにビックリする外見のミックスラーメン
このお店のご自慢の「ミックスラーメン」、登場しました!
運ばれてくる途中、先客のお二人が見て「相変わらずすげぇなぁ!」と声を上げています。
そう、運ばれてきたラーメン。インパクトあります。これ、確かにSNSでは「映え」るんでしょうね。
さっぱりした醤油ラーメンが基本ですが、その上に大量のもやし。そして、その上に豚肉の薄切りの竜田揚げ、さらにその上にイモの天ぷらと葱がトッピング。
食べきれるだろうか?
と一瞬、心配しますが、実はお肉は非常に薄く、イモの天ぷらもさほどの量はないので、大丈夫!
もともとこのお店のメニューに「肉揚げラーメン」と「芋揚げラーメン」があり、その両方をトッピングしていることから「ミックスラーメン」となっているようです。
見た目の印象と違い、スープのさっぱりした味わいのおかげもありあっという間に完食。
さて、あらためて店内を見渡してみると、調理師免許が額に入れられて飾られており、見ると昭和42年。つまり1967年。別の額にはお店に保健所から与えられた賞状。昭和47年とありますから、1972年にはお店はすでに営業していたことがわかります。ですから、50年以上!半世紀です!!
あらためて、スゴイ事だなぁと思います。お店の営業、それもお一人が50年以上続けるなんて。
改めてそんなお店の料理を頂けたことに感謝の気持ちで一杯です。ご夫婦、お二人とも丁寧な接客でした。
そうそう、お店は古い歴史を感じさせますが、一方でとても清潔だったことも好感が持てました。
お店を出る際、奥様に深々と頭を下げられた我々、思わずこちらも深く頭を下げてお店を辞したのでした。
帰路~時計が復活した改札を通る
帰路の計画はこうです。
大月13:48→新宿15:12 中央特別快速
新宿15:32→仙川15:54 京王線各駅停車
再び駅周辺を帰路の電車の時間まで歩き回ります。
駅に戻ってみると、以前ニュースで話題になった改札の時計。撤去され市から抗議を受けたということでしたが、新たに設置されていましたが、「大月市」の文字が。結局JR側は折れず、市が寄贈することで解決したのでしょうか?時計、やっぱりあった方が安心できるKAYSです。京王線の新宿駅でも以前はあった時計が撤去されており、鉄道会社の最近のブームなのかもしれないですが、荷物があるときは腕時計やスマホを見るのも不自由な時があり、不便ですねぇ。
2階席はほぼ満席状態に!
さて、駅は来たときと同じくらいの賑わいです。うーん、これはもしかしたら、グリーン車、一杯になるかも……。
そんな予感がして、ホームには早めに出ることにしました。
帰りの中央特快はこの駅始発ですが、東京からの折り返しです。到着して、清掃、そのあとに乗り込むことになりますので、グリーン車の表示のある場所に立ちます。掃除の女性が隣にやってきて、「掃除があるから直ぐには乗れませんよ」と声をかけてくれます。「はい、了解しています!お疲れさまです!」と声をかけておきます。かなりのご高齢の女性ですが、列車の到着を待つ間、KAY2の横で、しきりと指を動かしながら作業の行程を口に出して予習をしてらっしゃいます。正式運用が始まって1カ月ちょっと。時間との闘いの作業なので、大変なのでしょう。いつもありがとうございますと心の中で頭をさげるKAY2です。
ホームでは「本日、あずさ、かいじとも満席ですので中央特快もご利用ください」とアナウンスが……。
思った通りで、たちまちグリーンの行列が長くなります。
掃除が終わり、ドアのスイッチを押して中に入りますが、2階席は8割がた埋まってしまいました!恐るべし、大型連休!
とはいえ、帰りの席をしっかりと確保し、再び新緑の山並を抜けて、帰路はあっというまの旅でした。
短いながらも充実した大月への旅は絶対にリピートしたい!
自宅を出て戻るまでわずか6時間ほどの旅。それでも、中身はもの凄く充実していました。
大月、駅そのものは混雑していましたが、町はのどかで落ち着いており、緑の匂いを一杯に感じながら散歩するのも良いものでした。
次は「みやじま」、「マインドルフ」など、気になった他のお店を訪問してみたいものです!
店名 | 宝来軒 |
KAYS独自ランク(5段階) | ☆☆☆☆ |
電話 | 0554-22-1365 |
住所 | 山梨県大月市大月1-13-6 |
時間 | 11:00~21:00(L.O.20:30) |
定休 | 第2日曜日 |
メニュー例 | 味噌タンメン 900円 |
アクセス | JR中央線大月駅から徒歩4分 |
地図(Google Map) | こちら |
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