これほど音の良い防災ラジオが登場するとは!不安な災害時だから音の良さが意味を持つ ~ Sangean MMR-99J
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このラジオに惹かれたワケ ~ リッチな音質
防災ラジオ、お持ちですか?
手回しのハンドルや太陽電池が付いていて、電池がなくても聴くことができるラジオです。
LEDライトやスマホなどへの充電機能なども付いている場合があります。
私の場合、以前からこうしたラジオにも興味があり、ソニーが初めて出した防災ラジオICF-B200、そして、その後継機のICF-B99と、以前こちらの記事に書いたとおり、どちらも持っています。
ですから、もう必要ないと思っていたのですが、先日、この製品を知り、突然強く惹かれちゃいました。
Sangeanの「MMR-99J」。
きっかけは三才ブックスの「ラジオ受信バイブル2025」に取り上げられたからなんです。
そこに書かれていた「音が良い」という点に注目。
Sangean(山進)は台湾に本拠地を持つメーカー。今や日本の大手メーカーがラジオの生産には消極的とも見える動きになっている中、評判の良いラジオを作り続けています。すでにこの会社のホームラジオ「WR-302」とそのミニチュア版的な「WR-301」を持っていて、その素晴らしい性能とリッチな音質を知っていますから、これはかなりいけるのではないかと踏みます。
購入の検討~SONYの防災ラジオを持っているのに、なぜ?
防災ラジオ、前述のように評判の良いSONYのラジオを二機種持っています。それなのにどうしてもう一台手に入れたくなったのか。
SONYのラジオ、どちらも高性能ではありますが、実はラジオの音質があまり好きではないのです。特に新しい方のICF-B99(後継機で基本スタイルを踏襲したICF-B300も同様だと思います)はスピーカーの小ささも相まって、非常に固い印象の音質。クリアではあるので音を聞き逃さないという点では良いのですが、ただでさえ不安な災害の時にこの音は聞きたくないなぁ……という気持ちもあります。以前、こんな記事を書いたこともあります。
このときにSangeanのラジオの音作りに惹かれたのです。ややブーミーと捉える人もいると思いますが、中低音を強調した音作りというのは、気持ちの落ち着きをもたらせてくれます。
もしかして、防災ラジオをSangeanが出してくれれば手に入れたらいいかも……。そんな風に思っていた所に、突然夢が実現したというわけです。
さらにもう一つ。大きなポイントが。なんとこのラジオ、Bluetooth入力に対応しているんです。つまり、Bluetoothスピーカーとして使うこともできるのです。確かに防災時にはラジオに耳を傾けることになりますが、不安な日々が長引けば、スマホの電源さえ確保できればBluetoothで飛ばして音楽を聴きたくなることもあるでしょう。そんなときに、それにも応えてくれるのは心強いかぎり。
購入してみたファーストインプレッション
ネット通販で購入して翌日には届きます。
外箱はさほど大きくはないのですが、ずっしりとした重みがあります。これはこのラジオの特徴。SONYのICF-B99のように小型&超軽量で避難所にもひょいと持ち運びできるというような感じではありません。むしろ「ホームラジオの防災版」と考えた方が良いようなラジオです。
そして箱から出してみると、最近はやりのマキタやHiKOKKIの「現場用ラジオ」のような、なかなかにゴツいデザインですが、液晶が大きくて見やすく、そして、ハンドストラップもついており、持ち運びも不便はなさそうです。
キャンプなどには最適でしょう!そう、本体色も今回購入したブラック以外にフォレスト・グリーンも選べます。
そして、さっそく電源を入れてFMラジオを聞いてみます。ちなみにUSBでのフル充電は3時間ほどかかると説明書にありました。購入した時点である程度バッテリーは充電されていました。
ちょうど男性パーソナリティーのバリトン・ボイスが聞こえてきます。うん、期待通り、ツヤのある、そして輝きのある低音が響いてきます。
特筆すべきは音量を絞って聴いた時、それでもまた響きのある音なのです。これはとても好印象です。
さらにAM放送を聞いてみると、バンド幅がノーマルの場合、まろやかで聞きやすい音です。ワイドに設定すればクリスプなメリハリのある音になります。
そしてBluetooth。手持ちのスマホから飛ばしてみます。J-Popもロックも、歌謡曲もクラシックも……とっても良い音で聴くことができます。これ、Bluetoothスピーカーとして考えてもかなり優秀な音作りです。これは、期待以上だなぁ……と、思わずニンマリしてしまいます。
「ラジオマニア」にも書かれていましたが、こうした小型のスピーカーの場合、部屋の四隅などに置くと、低音がより強調され、小さな筐体とは思えない豊かな音の鳴りっぷりが楽しめます。
部屋の四隅に置くと低音がかなり強調され
ロックもジャズもガンガン楽しめる!
手回し充電の実力はとりあえず実用的
さて、防災ラジオとしてはどうなのでしょう。防災ラジオと言えば定番の手回し発電。こちらの性能はどうでしょう。
充電池が空の状態にして、そこから手回しハンドルを30秒回してみます。そこでTBSのFM補完放送(90.5MHz)。音量は小さな静かな部屋で聞くのに十分な音量ということで音量レベルは「8」にして聞いてみます。
すると、約11分間聞いたところでバッテリーが切れてラジオが聞こえなくなりました。30秒の手回しではさほど持たないのですね……。ちなみに日本での正式の輸入代理店「コペックジャパン」さんのページによれば1分間の手回しで約10分間ラジオを聞く事が可能とありますので、その程度なのだという認識は必要なようです。
長時間にわたってラジオを聞きたいと言う場合にはそれだけ長時間ハンドルを回して充電しておくか、こまめにハンドルを回すか、どちらかが必要となります。
せっかくですので、SONYのICF-B99で同じ条件を……と試してみます。同じように30秒ほどハンドルを手回しして電源を入れると、同じ程度の音量で約21分間聴くことができました。Sangeanに比べ倍近い時間聞けたことになります。こちらはSONYに軍配が上がります。スピーカーの出力も小さいですし、液晶ディスプレイもなく、総じて電力をさほど使わないという部分も考慮する必要がありますが、ハンドルでの手回し充電効率が高いことが評判の機種ですので、この点は好印象。
Sangen-MMR-99Jの手回し充電機能でラジオを聞くというのは「そこそこ」と思っておいた方が良いかもしれません。
ちなみにFMは電気を食います。AMであればどちらの機種ももう少し長い時間聞けるはずです。
太陽電池の充電の実力~ラジオを聞くには十分な性能!
太陽電池は小さなサイズですから、購入前は正直言ってオマケ程度のものだと思った方が良いと思っていました。また、メーカーの商品説明などを見ると、晴天時に屋外で……などとあり、なかなかそういった理想的な状態にならないことが多い実生活で、どの程度実用性があるのかと疑問でした。
そこで、わざと曇天時で、短時間の充電という実験を。
ところが、これが意外な、そして嬉しい結果となります。
充電時間は30分だけ。内蔵充電池が空の状態にしておいて室内の窓際に本機を置いてみます。
さて、聞くのは手回し実験と同じくTBSのFM補完放送(90.5MHz)。音量もレベルも同じく「8」。
スイッチを入れて聞き続けてみると、なんと41分ほど電池が持ちました!
せっかくですから、こちらもSONYのICF-B99と比較してみます。同じ条件で試してみると、こちらはわずか5分でバッテリー切れ。ラジオが聞こえなくなります。
たしかに小さいとはいえ太陽電池の表面積はSONYに比べ1.5倍位はありそうですので、その大きさの差もあるかもしれませんし、とても発電効率の良い太陽電池を使っているのかもしれません。
これは圧倒的にSangen-MMR-99Jの勝ちです!
実際に音を聞いてみると… ~ SONY ICF-B99との比較動画
Bluetoothで大好きなイギリスのClassic FMを。
目を閉じて聞いていると、結構値段の張るBluetoothスピーカーで聞いていると言われても全く疑うことがないでしょう。それくらい、見事な音です。例えば以前このブログでも触れた(こちらの記事)MarshallのWILLENと比較しても、むしろ音の厚みという意味ではこちらの方が心地よく感じます。しかも、それが実は多機能な防災ラジオだというのですから!
そのスピーカーでAMやFM放送を聞くという幸せ。
例えば、この記事で様々に比較しているSONYのICF-B99と動画で聞き比べてみましょう!
というわけです。
これはもう全く別カテゴリーの製品だと言って良いでしょう。SONYの方がニュースなどの音声は聞きやすいという方もいらっしゃるでしょうし、これは完全に好みの問題です。ただ、防災ラジオでここまでの豊かな響きの音を聞かせるというのは今までにないことだと思います。
ラジオの受信感度は?
AMの場合、地元の放送はもちろんですが、夜間に入り、他のBCLラジオ、例えばTECSUNのPL-990と比較してみて、内蔵バーアンテナで入る局数は変わりません。ラジオ関西などはここ東京の室内でもこのラジオで良好に受信できています。
FMの場合も、上記TECSUNのPL-990と比較してみましたが、我が家で受信できる主だった局はすべて受信できました。感度は良く、ラジオとしても他の高性能ラジオと比較して遜色ありません。
太陽電池が作動する際にブザーの音がラジオを邪魔するかどうか ~ 大丈夫だった!
これ、購入時に一番不安に思っていたことです。「ラジオ受信バイブル2025」に上げられていた問題点です。記事によるとAM受信時に太陽電池が一定の日光を浴びて充電を始めると「プー」というブザー音が鳴るという点。しかも光の強さによって音が変わるというのです。これはさすがに厳しいかも……と思いながらも、実際に使い始めてみると、この現象には遭遇しませんでした。
そもそも直射日光が太陽電池に当たっても充電ランプが点灯しないことから、AM受信中には太陽電池での充電はされないようになっているようです。FM受信やBluetooth使用中に直射日光が当たるとLEDが点灯しますので充電をしていますが、ブザー音は鳴りません。もしかしたら個体差か、あるいは記事が書かれた後に改善されたのかもしれませんね。これで一番の不安要因が取り除かれました。ちなみに購入した本機のバージョンは「064」です。
USBで充電中は緑のランプが点灯
ダイナモでも、太陽電池でも同様に点灯
「ラジオ受信バイブル2025」で指摘された他の欠点は?
同様にFMの90MHz帯でデジタル無線が混入するという件ですが、幸いにも我が家ではそれはありませんでした。これは使用する場所によるのかもしれません。
もう一つ、内蔵スピーカーの音量を変えて、ヘッドホンを接続するとヘッドホンの音量が一旦上がってから下がるという現象、これは確かにありました!
一瞬、音が上がります!ただ、さほど耳をつんざくほどではないので、まぁ、許容範囲かなとは思うのですが、それよりも、ヘッドホンジャックに差し込んで音が出るまで2秒程度待たされるという点。こちらの方が気になる要素ではあります。ただ、何度か連続で抜き差しすると、なぜかこの現象は起きませんが。
Bluetoothスピーカーとしては同じ価格帯の
専用オーディオ製品と遜色ない出来栄え!
多機能で実用的な要素が満載な防災ホームラジオ
それ以外にもLEDライトや非常ブザー、それにIP55防塵・防水規格に対応、AUX IN入力も兼ね備えるなど、実に多機能な防災ラジオです。
何よりも音の良さが最高の魅力。これはもはや防災ラジオでなく、ポータブルなホームラジオ。Bluetoothスピーカーとしても毎日大切に使いたいと思わせる製品です。
1家に1台!と言っても良いのではないかと思える、とても好ましい印象の素敵なラジオに久しぶりに巡り会えました。
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