ハイレゾ非対応のスピーカー Klipsch R-50M を購入するに至った経緯 ~ ある論文から

2025年2月16日



KlipschのR-50Mです!

このところ進めていた我が家のオーディオの世代交代。くわしくは自分用のメモ(備忘録)として書いた記事をご覧ください(こちら)。

スピーカー買い換えまでの長い(!)備忘録 (自分用のメモです)

そこでも触れていますが、最後に残っていたのはもう一組のスピーカー。現在自室兼仕事部屋で聞いている「Infinity」の「Reference 21」という製品(アメリカのブランドですが製造はデンマーク)です。この機種を買い替えるのが今回のテーマ。買い換えの条件は以下の通り。

1.タイプはブックシェルフ
2.価格は2本ペアで10万円以下(できればその半分の5万円以下!)
3.音の好みとしては輝かしい高音としっかりした低音が出ること

およそ2カ月近く悩んだ結果、9種類ほどの機種に絞り、さらに、そこから検討をした結果、「Klipsch(クリプシュ)」というアメリカのメーカーが製造している「Reference R-50M」という製品が第一候補となります。Klipschというのは現在アメリカで「Polk Audio」と人気を二分するメーカーで比較的低価格のスピーカーを供給してくれています。この機種もペアで5万円を切る価格で販売されています。

ブランドとしては80年近い歴史があり、特に劇場や映画館などのPAによく用いられるメーカーだということですが、さらに音を比較動画などで検討した結果、この機種が一番良い印象。ただ、最後の最後になって、ふと、1点、気になりました。それは本機のみがハイレゾ非対応であるということです。他の8機種はいずれもハイレゾ対応を謳っています。

今や時代はハイレゾ。

今どき非対応ってどうなのかな?と一瞬思いますが、一般的にはスピーカーの場合、ハイレゾへの対応・非対応はあまり気にしなくても良いと言われています。というのもスペックを見れば、昨今の多くのスピーカーはハイレゾ対応と謳わなくても人間の可聴音域を越えていますし、すでに高い周波数の聴力が年相応に衰え始めた自分の耳では関係ないかも……と思います。

要はスピーカーの場合、自分の耳で聞いて心地良いかどうかということ。自分の好みに合うかどうかと言うことで、それはこうしたハイレゾのスペックとはあまり関係ないということになります。

そして、購入を決める直前、ある論文を目にしました。

西口敏行さんというNHKで技術を担当していらっしゃる方が2009年に電通大の博士論文として書かれたものです。ズバリ、「ハイレゾリューションオーディオの研究」と題されたもので、こちらはネットでも公表されており、とても興味深い論文だと思います。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/65/12/65_KJ00005879069/_article/-char/ja/

ぜひ原文をあたっていただきたいのですが、長い論文を敬遠されるかたもいらっしゃると思います。さいわい「みっちさん」という方がご自身のブログで要約された記事をあげていらっしゃいます。こちらを参考になさると良いのではないかと思います。
https://mitchhaga.exblog.jp/32590585/

この論文の中ではいくつかの実験を行っているのですが、その一つ、13人の(いずれも音響か音楽を専門にされる)方々に21KHz以上の音を含む音源(ハイレゾの一つの指標ですよね)とそうでない音源をいくつかの楽器での録音で聞き比べてもらったところ、使った音源のうち、ある楽器に関してのみ聞き分けられた方が2名いらっしゃったのですが、それ以外は差はわからなかったというものです。その2人は音大生。そして楽器は筑前琵琶の音だったそうです。ただ、その後追試を行ったところ、そのお二人もダメだったとのこと。

ということで、その結果の解釈は人によって様々だとは思うのですが、私としては、ことスピーカーに関してはハイレゾ対応、「特に気にしなくてもいいや」という結論になり、購入を最終決定しました。

そして、実際に購入してみると、その通りで、すでに購入しているハイレゾ対応のYAMAHA「NS-B330」と比較しても、その音域に関しては音楽を聴く限り大きな違いは感じることなく、その結果に満足したというわけです。確かにそれぞれの音域で両者それぞれに得手不得手はあるのですが(例えばトライアングルの音はYAMAHAがよりきらびやか、ヴォーカルはKlipschが艶やかで力強いなどなど)、それは好みの問題程度であって、どちらも互角に広い音域で音を良く鳴らしている印象でした。

良く言われることですが、オーディオ業界には様々な説が溢れ、中には科学的でない物もあり、その中で、自分にとって意味のある説を見分けるのはなかなか大変です。特にオーディオに関して永遠の素人である私などは。

そんなとき、基本に立ち返れば、スペックや性能はもちろんデータとしては必要。でも、最終的には基本的な性能やスペックを満たしていれば、あとは「自分の好みの音」を出してくれる製品を購入すれば幸せになれる。そういうことではないかと思っています。それを探し出すためのヒントの一つとしてのデータであり、評論家の言葉も同様ではないかと思います。

そして、前回の記事(こちら)に書いたように、お店に出向くことなく、実際の音に近い状態のものをネットの「空気録音」で聞き、ある程度の判断ができるというのは、良い時代になったものだと改めて思います。

今回、特に判断の大きな材料となったのは大阪にあるオーディオショップ「逸品館」さんの動画でした。こちらであげられたいくつかの動画の中で候補となったスピーカーを聞き比べることによって、自分の好みのスピーカーを発見することができました。大いに感謝したいと思います。

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