SANGEAN SR-32 ~ 元電子工作好きの少年だったオジサンたちの心をくすぐる基板の見えるラジオ
日本のメーカーが最近元気のないラジオの世界。ところが海外では元気なメーカーが数多く。その一つ、台湾の「Sangean(山進電子)」は高性能のラジオを多く作り出していることで知られています。
BCL、短波ラジオのお好きな方は「ATS-909」シリーズを長年使ってらっしゃる方も多いでしょう。また、音質の良いホームラジオなら「WR-302」、さらに超小型のミニチュアホームラジオのようなデザインでカワイイのにメリハリのある音を奏でる「WR-301」をお使いの方も。
そんなSANGEANが新しく日本で発売したラジオがこれ。
「SR-32 」
初めて目にしたのはSNS。この写真が流れてきた瞬間に「!」となりました。
透明なプラスチックの筐体で中の部品が丸見え。まるで中学の頃の技術家庭科の授業で作ったラジオみたい!あるいは子どもの頃に目を輝かせて眺めた雑誌広告のラジオキットのよう!
そう、我々のようなオジサン世代には「ギュッ」と心を鷲掴みにされるような魅力があるデザイン。
しかも、あの人気のラジオメーカー「SANGEAN」の新しいラジオなんて!!
最初はエイプリルフールかと思ったくらいです。でも、今は12月。ほっぺをつねって、もう一度写真を凝視。直後、情報収集。
これは……
受信できるのはAMとFMの2バンド。FMはモノラルですがFM補完放送を含めた日本の周波数をカバーしています。スピーカーはなく付属のイヤホンを端子に差し込んで音声を聞きます。単三電池2本(製品には付属しません)で作動します。
スイッチ類も上部のバンド切り替え、左横の電源スイッチ兼ボリューム、右横の周波数ダイヤル。これだけ!
大きさは63.8(W) x 25.8(H) x 86.9(D)mmで、重さは67gですから、手のひらサイズ。やや厚みはあるものの大きめのポケットなら入ります。
透明なケースですから、中の基板もバーアンテナも見えます。どう見ても子どもの頃のキットラジオ!
とにかく「潔いポケットラジオ」と言ってもいいかもしれません。
もしかしたら今年で設立50周年を迎えることから、その記念としての特別バージョンかもしれません。勝手な想像ですが!
見たら欲しくなる。そんなラジオ。凄いですねぇ!Sangeanの商品企画力。
それと、驚いたのはこれは日本向けの独自企画ということ。SAGEANの英語ページを見ると、この製品は白と黒の2種類のみ。クリアケース仕様は日本向けのようです(Amazonにそうとれるような記載がありました)
値段も3,000円台。思わずポチってしまう「引力」!
というわけで手元にあります。(爆)
印象ですが、とにかく懐かしさのような不思議な気分を味わえます。
これがオリジナルの(数年前に発売されているようです)海外仕様の白もしくは黒であれば、さほど魅力は感じなかったはず。
で、実際に使ってみての印象ですが、こちらも悪くありません。感度は上々。SONYなどのメーカーのポケットラジオと比べても受信性能的には遜色ありません。
さらに特筆すべきは音のクリアさ!もちろん、スピーカーはないので、イヤホンで聞くことになるのですが、明解な音作りです。
写真のように、イタズラ心で実売価格が本機の10倍、37,000円もするTivoli Audioのラジオ「Model One BT」に本機のイヤホン端子からオーディオケーブルでつないでみます。「Model One BT」本来のFM放送受信と、AUXイン入力でのこのラジオのFM放送を聞いてみると、ほとんど差はないという感じです!驚きました!!
AM放送の方は比較をすると中音域において「Model One BT」がやや豊かなのですが、「Model One BT」はAMでは生活ノイズを拾いやすく、その点、SANGEANの方がノイズに強いという結果に。
うーん、何と言うことでしょう!とにかく驚きの体験でした。
ただ、欠点もないわけではありません。小さな筐体でアナログ選局ですから、その点は使いにくさはあります。またイヤホン端子からの出力は低く、ボリュームを最大近くにしてちょうど良い音量。外部スピーカーを鳴らそうとすると、かなり厳しいです。
そして惜しむらくはスピーカーがないこと。通常のポケットラジオとして楽しむのであればSONYやPANASONIC、TOSHIBAなどの名刺サイズラジオがやはり小型軽量で良いでしょう。
そして、FM放送をステレオで聴くことができれば良かったのに!
とはいえ、このデザインにこのお値段です!ぜひ1台持っておきたいと、強く所有欲をくすぐるラジオなのは間違いありません!
かつて電子工作好きだった方、お1ついかがでしょう?
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